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こよみのよぶね2025

  • 11 分前
  • 読了時間: 8分

「冬至」。一年で一番夜が長いこの日。岐阜市長良川では「こよみのよぶね」が催されます。

今回は、2006年に始まり今年で20周年のアニバーサリーを迎えるこのイベントを皆さまにご紹介いたします。



冬至迎え 点灯式 16:00-17:30 西の空が黄金色に染まりゆく中、長良川左岸の鵜飼観覧船のりばでは、総合監修の日比野克彦さんらによる開会の挨拶から始まり、各月船(つきぶね)の制作チームが担当した数字行灯の制作談話が紹介されます。どの月の行灯もそのユニークなデザインに寄せる想いや、苦心した点、是非見て頂きたい点などが、制作者ならではの視点で語られるのが魅力です。 たとえば7月の月船の行灯にある赤い球は一体何でしょうか?皆が不思議に思っていたところ、答えは「太陽」でした。太陽は周りに居る人をぽかぽかと温かくするものなのでデザインに取り入れたかったと制作者の一人である岐阜小学校5年生のねねちゃんは語ります。 また8月の行灯の飛び出た棒は何なのでしょうか?これは岐阜を代表するものとして取り入れた金華山のリスの尾を表しており、口に咥えたクルミの部分は柴橋市長も制作に携わったとのエピソードが明かされました。こうして次々と制作秘話が語られていくうちに、夜の帳が降りてきて月船に積まれた行灯用の発電機のエンジンが掛かります。 「まだだよ!まだだよ!じゃ10から…10!9!8!7!…」と日比野さんのカウントダウンで一斉に点灯した行灯の美しいこと!辺りが暗くなればなるほど、その鮮やかさを増していきます。


巳年であった今年の干支船は岐阜県美術館~ながラー チームの制作による『ナガラノオロチ』です。こちらもとぐろを巻いた白蛇の姿が闇夜に明るく輝きます。



出舟

17:30 いよいよ右岸プロムナードに向けて、制作チームの方2名と船頭さんが乗船され、干支船、月船の順に次々と出船していきます。普段は鵜飼観覧の観光客の方々に乗船して頂いている船頭さんも、今日は万全の防寒体制に身を包んでの操船です。干支船に加え牡丹丸, ひまわり丸, さるびあ丸, 岐阜丸, 岐陽丸, 岐山丸, 若鮎丸 7艘の観覧船に「行ってらっしゃ~い!」と皆で見送り手を振ります。太鼓の音で応えてくれます。ここから、プロムナードまで制作陣や支援者の方々を含む観覧客の皆さんは長良橋を渡り陸路を移動して参ります。



顔見せ 18:00 プロムナード前へ到着した、こよみのよぶね達は、干支船を追う様にゆったりと、うかいミュージアム前からホテル石金前まで周回して行灯の出来栄えを存分に披露してくれます。そして断続的に聞こえてくる不規則な太鼓の音が、何とも言えない風情を醸し出していきます。



うかいミュージアム

さて、ここから暫くよぶねの遊覧をゆったり楽しむために、体の温まるものを口にします。うかいミュージアムの交流体験広場では、たこ焼き、いしる汁、クラムチャウダー、ラーメン、ホットコーヒとドーナッツ…e.t.c、パーキングにはキッチンカーが出店しており、温かい食べ物や飲み物を購入することができます。また、広場中央には暖を取るためのキャンプファイアーが焚かれていました。勿論トイレも完備ですから安心です。

買ったものはプロムナードでよぶねを見ながら召し上がる事もできますし、温かいところで落ち着いて食事をしたい方向けに四阿(あずまや)が解放されています。ここには、今年一年の出来事を振り返りしたためた“こよみっけ!!”の短冊が飾られています。




お山下楽屋

18:30

1月から十二月までの数字行灯を乗せた月船と干支船が、漆黒の金華山を背景にお山下の川原前で時を待ちます。このプロムナードに居る観覧客の雑踏の音と、ピンと張りつめた師走の空気を通して対岸から聞こえてくる太鼓の音は一種独特で、夏場の勇壮な鵜飼漁とはまた違った長良川の一面を見せてくれ、新たな日本の音風景とも言えるのではないでしょうか。



柴橋市長との対談

ここで、駆け付けた柴橋市長と日比野さんが、この1年間を振り返ります。市長は多くの子供たちの出会い、民間の力で復活した夏花火を印象的な出来事として話されました。とりわけ金華山に当たって跳ね返る独特の音響効果を持つ長良川の花火について語り合います。また、各国大使を迎えて行う外交団鵜飼観覧では、変な匂いの全くしない花火と、都会なのに澄み切った川の水に各国大使が驚きを隠せず、これは異常なことで、世界ではこんな事は目にしないと絶賛しているエピソード披露して頂けました。その他、ダムが無いゆえに自然の渇水に任せている長良川の水位の状態を常に気にし、陸閘の点検には立会って閉まりきるか、開ききるかを確認しているというこぼれ話も披露されていました。 最後に市長が日比野さんに尋ねます。「今年、この行灯が特徴的で気になったというのはありますか?」日比野さんが即答します。「あの小学5年生の子たちがデザインしてくれた10月の万博がテーマの船。あれはね。ほぼ絶賛しましたね。岡本太郎の太陽の塔とミャクミャクとの出会い。1970年と2025年の出会いというね、あれはなかなかね…。」その話を聞いて柴橋市長も学生時代、万博公園の太陽の塔の前の芝生で寝そべり読書に耽った思い出話を披露します。そして、最後に今年も長良川を支えて下さった多くの皆さんに感謝して、対談を終えたのでした。



時の流れ(20周年スペシャル)

19:00-20:00

さて、ここからは、いよいよイベントも佳境を迎えます。月船がプロムナードに接岸しボランティアの巫女さんから「こよみっけ!!」と呼ばれるこの1年を振り返った短冊を受け渡す儀式が始まります。私は、この時にアナウンサーの方が、それぞれの月毎に「日比野さん、何月はこんな事がありましたねぇ。あんな事がありましたねぇ。」と話しかけ「日比野さんが、そうですねぇ。」と応じ、ローカル談義に華が咲くのがとても好きです。 そして、制作者チームの皆さんにとっては、それぞれの月の数字行灯の出来栄えに対して日比野さんが、工夫を凝らしている点、面白い点などを寸評する緊張しつつも楽しみな時間でもあるのです。 そんな中、澄み切った冬の夜空に突然花火が上がりました!


おぉおお!会場はどよめき一気に盛り上がります。横に居たゴールデンレトリバーは腰を抜かして息が荒くなり、飼い主を闇夜に引っ張って消えていきました。

実行委員会関係者の無線連絡から聞こえてくる声では、今夜25発の打ち上げ花火があがるとのこと。タイミングはサプライズとのことで、スマホを構えるいとまが無いと皆が口々に残念がります。

線香花火の様な余韻の残る、禿花火をひとしきり楽しんだあと、1・2・3月船から順に「すぎ山」の前に接岸された月船は巫女さんから「こよみっけ!!」の短冊を受け取っていきます。

例年1年を振り返って終える「時の流れ」ですが、20周年記念となるため、今宵はここまでの「こよみのよぶね」の歴史を振り返りました。最初は、1チームで12か月分を作っていた為、夏から作っていた事や、8月の数字行灯から作り始めたこと。観覧船ではなく踊り船に載せた際、高さオーバーで長良橋に当たってしまった事。渇水で船が出せず、行灯を川原に設置し、船の型取りをヘッドライトで照らしてシルエットを作り本物そっくりに見えた事。2年前、雪景色に覆われた雪の中のこよみのよぶねなど、どれも主催者のご苦労が偲ばれる聞きごたえのあるエピソードばかりでした。


お見送り 20:00 十二月の月船を見送った後、干支船が今年の残りを名残惜しむ様にプロムナード前を周回します。やがて、その干支船も鵜飼観覧船のりばへ下って行きます。ここで、観覧者は時の流れが川の流れに置き換えられて自分達は、今、2025年(令和7年)を見送っているのだと錯覚します。

日比野さんの語りが続きます。最初は何もなかったこの「こよみのよぶね」を岐阜の当たり前にしたい。「あぁ、冬至の時はこよみのよぶねがあるから…」と当然の様に誰もが語れる様にしたい。今年は7艘しか用意できなかった船を、数字行灯1つに付き、一艘の船が仕立てられる様にしたい。(今年は1・2・3月が牡丹丸, 4・5月がひまわり丸,6・7月がさるびあ丸,8・9月が岐阜丸,10月 岐陽丸,11月 岐山丸,十二月 若鮎丸でした。)1300年の歴史を誇る鵜飼と同じくらい続ける伝統行事にしたい。だから20周年であと1280回やる…など、今後の展開についてのプランを披露されました。最後に実行委員会を代表して、今年も無事終えられた事を感謝し、極寒の中、最後まで見届けた観衆へ閉会の挨拶をされ、来年も良い年であり、無事こよみのよぶねがあります様にと祈りました。 と、そこへ締めの花火が一斉に打ちあがり、号砲が夜空にこだます。自然と会場から拍手が沸き立ちます。 そして静かな、何も浮かんでいない、いつもの長良川に戻っていき、観客達は何か鵜飼を見終えた時の様な充実感と寂寥感を味合うのでした。


岐阜市の冬の新名物「こよみのよぶね」は毎年、冬至の日に行われます。行灯の作り手達の想いや郷土愛を是非一度、ご覧になられてはいかがでしょうか? ■こよみのよぶね観覧の注意点 ・寒さ対策は万全に。 ・温かい飲み物で体の中からも温めましょう。 ・トイレは左岸の観覧船のりばは、長良橋のたもとや待合所に、右岸のプロムナードではうかいミュージアムの屋外トイレをご利用になると便利です。

・長良川温泉にお宿を取れば、身体も心もほかほかになりますよ。                                    (記:深山)

 
 
 

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